《ゲンキ?最近時間が空いたから連絡してみました!食事行こうよ近々空いてる日ある?》

今年のゴールデンウイーク、1年以上前に声をかけた女、
窯から突然メールが届いた。

までナンバはすれど、相手から誘われたことはなかった。
しかし、このメールはどうだ。連休になって体が癌いてるのか?
何回求められて
もいいように、オレはコンドームを3つ財布に忍ばせて待ち合わせ場所に向かった。
女の年齢は20才。
陽子の鼻を低くしたような顔だ。
少しギャルっぽく、絶世の美女というわけではないが、胸の谷間からのぞく形の良さそうな乳房は垂延ものだ。
店に入り、最近どう?といった当たり障りのない会話を振ってみる。すると、ラッキーなことに、最近彼氏と別れれたという。これはチャンスだ。
「私、しばらく彼氏はいらない」
間髪入れずに「なんで別れたの?その話を今後の人生の参考にするから」と詳しく問いただした。
「急に冷めちゃって・・・」
「なんで、また」
「言ってなかったかもしれないけど、彼氏がアメリカにいて遠距離だったんだ。ついこの間、会いにいったときにもう好きになれないと思っちゃって。理由はよくわからないんだけど」
風が吹いているのを感じた。
もちろん追い風だ。遠くのイケメン(イケメンかわからないが)より、近くの赤達。八ワイに行くぐらいなら熱海で十分。おそらくそういうことだろう。口説け、口説け、と風が背中を押す。
「彼氏と別れたと聞いたから、言うんじゃないけど、オレは薫ちゃんがタイプやねん。もし寂しいときは電話してや」
「ありがとう」
決まった。今夜はいける。
しかし、そう思ったのもつかの間、薫が「でもね」と言葉をつないだ。でもって何だ。
「今まで彼氏のことが大好きだったのに、急に好きになれなくなったんだよね。じゃあ今までの私の気持ちって何?このことを考えると、自分が信じられなくて、なんかしばらく彼氏はいらないって思っちゃう」
追い風はあっけなくやんだ。どこかの恋愛小説みたいなことを抜かしやがって
鼻で笑ってやりたいところだが、
「その気持ちわかるよ。オレも経験あるもん」と言っておいた。しかし、実際はそんな経験はないので、話を進めることができない。恋愛経験を狸造しようと熟考していると、ありがたいことに薫のほうから話題を変えてくれた。
「ところで、赤津さんの夢は何?」
「夢?おかしな質問をするね」
「私、やっぱり夢を追って努力している人が好きなの。たとえば会社起こしたいとか、
将来は八ワイに別荘持ちたいとか。何かあるでしよ」
「そりゃ、できればサッカークラブのオーナーになりたいよね」
「それってどうやったらなれるの?」
「楽天の三木谷社長ぐらいになれば、サッカークラブを持てるよ」
「いいじゃん。頑張ろうよ」
頑張るうって、三木谷社長でも弱いチームしか持てないんだよ。オレにどうしろって言うねん。
苦笑しているオレに薫は言った。
「私はね。最近すごくいい出会いがあって、時間を自由に使えてお金を稼げるようになったの。少し前までは、お金も時間もまったくなかった私が、すごく変われた。赤津さんも変われると思う」
「その出会いって何?そんなうまい話、世の中にあるかな?」
「私はラッキーだったの」
「何の仕事やねん」
「仕事というかビジネスだよ。詳しいことはあまり言えないけど」
仕事もビジネスも一緒やろ
しかし、結局、しつこく間いても内容は教えてくれなかった。
「じゃあまた連絡するね。今度は赤津さんの夢を聞かせてね」
帰り道、駅に向かう途中で、薫は「私、少し用事があるから」と雑踏に消え、すぐさま携帯で電話をし始めた。どこにかけているのだか
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